内部通報支援業務③~内部通報制度の構築支援(2)~
弁護士 小島梓
当方が,内部通報制度の構築において,関係法令・裁判例等に配慮しつつ,いかに実効性のある制度設計を行うかという点が重要と考えていることは前回お伝えしたとおりです。今回は,実効性のある制度設計の重要性等についてご説明します。
内部通報制度の重要な意義の一つは,社内の不正につながる事実を早期に把握し,企業の自浄作用を働かせることで,不正の早期発見や,不正の未然防止につなげ,企業防衛,ひいては企業価値を高めていくという点にあります。
そのため,大前提として,内部通報制度が従業員にとって利用しやすいものであること,実効性のあるものであることが必要になります。内部通報がないのはよいことだと思われているかもしれませんが,経験上,大きなトラブルが起きにくい体制を作れている企業は存在しても,全くトラブルがないという企業はありません。
すなわち,「内部通報がない=トラブルがない」ということではなく,トラブルがあるのに,内部通報がないということは、従業員が利用しにくい制度になっている可能性が高いです。
これでは,企業の自浄作用を働かせるという制度趣旨は果たされません。最悪の場合,企業内部での解決に期待ができないので,外部に通報されるということになってしまいます。
内部通報制度は設けたが,利用者はなく「絵に描いた餅」になってしまっては,意味がないということはおわかりいただけると思います。
そこで,当方では,従業員が内部通報を利用しやすくして,実効性のある制度とするにはどうしたらよいのかという観点から,対象者,通報の方法,大前提として内部通報制度の周知などに関しても考慮の上,規程内容の作成,アドバイスをいたします。
次回は,内部通報窓口の設置場所についてご説明します。