コラム

内部通報支援業務

内部通報支援業務④~内部通報制度の構築支援(3)~

弁護士 小島梓

 今回以降、内部通報窓口の設置場所についてご説明していきます。
 当該制度を実効性のあるものにできるかどうかに,大きくかかわる点です。その意味で,悩まれている担当者の方も多いと思います。

 選択肢としては,主に,①社内にのみ窓口を設ける方法,②外部にのみ窓口を設ける方法,③社内と外部の両方に窓口を設ける方法、という三つが考えられます。
 ご相談いただい場合は、貴社の状況に最適な方法を一緒に検討させていただきますが、当方では,基本的に,③社内と外部の両方に窓口を設ける方法をお勧めしています。

 そこで,まずは社内窓口と社外窓口それぞれについて,適切な窓口として機能させるために一般的に考慮すべきことなどご紹介し,そのうえで設置場所,方法をどのように選択したらよいのかご説明したいと思います。

 まずは、社内窓口についてです。適切な社内窓口の設置部署はどこになるでしょうか?

 当方としては,社内窓口は総務部門,法務部門,コンプライアンス部門などに置き,通報受付担当者については社員の中から,最低でも男女1名ずつ配置することをお勧めします。

 時々,社内の取締役などの役員を内部通報窓口の通報先に指定している会社もあります。会社の規模や事情によりけりではありますが,可能であれば避けた方が良いと考えています。

 まず,後に詳述しますが,ガイドラインやコーポレートガバナンスコードでは,経営陣から独立した窓口の設置が推奨されています。さらに,実際に,取締役への通報となると社員が躊躇してしまうのが通常であり,実効性のある制度となりえないと考えられるためです。
 そのため,特段の事情がない場合には,社内のコンプライアンス部門に窓口を設置し,通報を受け付けるのも社員とする方が良いと考えます。

 また,多くの企業の内部通報窓口においては,通報対象にセクハラやパワハラの問題も含まれています。その点を考えますと,通報を受け付ける担当者としては男性と女性の両方を配置するのが望ましいです。
 セクハラの問題などでは,女性通報者は女性に話を聞いてほしいという希望が出ることも多いです。

 そして、内部通報の実効性を確保するために通報受け付ける社員の質は大変重要になります。この社員が話しやすいか否か,正確な事情を聴きとる能力があるかに大きく影響されるところがあります。 可能であれば,最初から,このような特質,能力を持った社員を配置できればよいですが,難しい場合には,適宜研修等を行うことも重要になります。

 次回は、社外窓口について簡単にご説明します。