公益通報者保護法③~公益通報者保護法の制度趣旨など~
弁護士 小島梓
今回は、改めて、公益通報者保護法とは何のために設けられたものなのか、制度趣旨等についてご説明したいと思います。
企業の不祥事等による国民の生命、身体、財産その他の利益への被害拡大を防止するために通報する行為は、正当な行為として事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護されるべきものであり、事業者にとってもリスクの早期把握及び自浄作用の向上を図ることにより、企業価値及び社会的信用を向上させることができるものと考えられています。
そこで、「公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」(公益通報者保護法1条)を目的として制定されたのが、「公益通報者保護法」です。
同法は、平成16年に制定され、平成18年4月1日に施行されました。
以上のような目的に照らし、公益通報者保護法は、通報者が、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかというルールを明確にすることを目指して様々な規定をおいています。
他方で、当然、公益通報として保護されるためには要件があり、全ての人、事実が対象となっているわけではありません。そのため、内部通報ではこの公益通報者保護法では対象とされていない、保護されない人や事実を対象とするか否かを慎重に判断する必要も出てきます。
次回は、まず、公益通報者として保護されるのはどのような人たちかということについてご説明します。この点は、平成2年6月改正法で重要な改正がなされた部分でもありますので、ご確認ください。