内部通報の社外窓口としての業務
目次
- 1. はじめに
- 2. 社外窓口の位置づけ
- 3. 社内における、社外窓口の周知
- 4. 電子メール、電話等による内部通報
- 5. 弁護士による通報内容聴取
- 6. 弁護士から会社への通報内容の報告
- 7. 会社から通報者に対する事情聴取、調査等の各種対応
- 8. 調査結果のフィードバック
- 9. まとめ
1. はじめに
最近、内部通報窓口を、社外にも設置する企業が増えています。当事務所では、社外窓口としての業務も行っています。
そこで、本ページでは、当事務所でご提供できる社外窓口としてのサービス内容を簡単にご紹介します。
2. 社外窓口の位置づけ
ご相談にいらっしゃる担当者の方の中には、突然会社から内部通報の担当者になるよう命じられ、社外窓口の設置先を探すように言われたが、そもそもどういう位置づけで、何をどこまで行ってもらえるものなのかわからないという方も多いです。
そこで、まずは、社外窓口の位置づけ、内部通報がなされてから、会社に報告が上がるまでの仕組みなどをご理解いただきたいと思います。
大枠の仕組みは以下の図のとおりです。
3項以下で各段階における詳細をご説明します。
〈内部通報の社外窓口を当事務所に設置された場合の流れ〉
① 社内における、社外窓口の周知
② 電子メール、電話による内部通報
③ 弁護士による通報内容聴取
④ 弁護士から会社への通報内容の報告
⑤ 会社から通報者に対する事情聴取、調査等の各種対応
⑥ 調査結果のフィードバック
3. 社内における、社外窓口の周知
当事務所に社外窓口を設置いただくことになった場合には、社外窓口サービスがスタートする前に、社内において、当事務所に社外窓口を設置したことや当事務所につき所属弁護士含め簡単にご紹介いただくことをお勧めしています。
なぜなら、まずは社外窓口を法律事務所に設置したことを周知いただき、どういう人間が電話やメールで対応してくれるのかを紹介いただきませんと、通報者の不安が解消されず、利用頻度が上がらないという傾向にあるためです。
当事務所では、会社のご要望に応じて、各弁護士の顔写真データ等をお渡しするなどしてご協力することも可能です。
会社の状況に応じて周知方法についても、ご相談に応じます。
4. 電子メール、電話等による内部通報
まず、会社の従業員(通報者)から、当事務所に対して内部通報が行われます。
当事務所では、この通報の手段として、電話と電子メールにて対応いたします。電話は当事務所の営業時間内、電子メールは24時間受け付けます。
5. 弁護士による通報内容聴取
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電話による内部通報があった場合
当事務所では、電話による内部通報がなされた場合、弁護士が電話に出て聴取を行います。
通報者の方の中には、内部通報の制度を理解されていなかったり、通報はしてみたものの、本当に話しても大丈夫なのかといった不安を抱えておられる方も多いです。そのような方に対しては、内部通報制度の仕組みや趣旨をご説明して、不安を取り除くことから始めます。
そして、通報内容の概要について丁寧に聴き取ります。
そのうえで、基本的には、可能であれば詳細について面談(オンライン含む)での聴取をお願するようにしています。
ただし、お時間の関係などにより面談の対応は難しい方もいらっしゃいますのでその場合は、電話が可能な限り聴き取ります。
通報者の方がお話をしやすいように、聞き役に徹しますが、必要に応じてお話を整理させていただいたり、法的な評価に必要な事情を聴き取ることもいたします。
また、会社への報告の可否、会社への報告は行うとして、匿名を希望されるか否か、どこまでの情報を報告してよいかなどの確認を行います。 -
電子メールによる内部通報があった場合
電子メールによる内部通報がなされた場合も、メールへの返信ややり取りは弁護士が対応いたします。加えて、当事務所では、より正確な通報内容の聴取のために、通報者の方に対して、電話か面談での聴取をさせていただけないかご提案するようにしています。
経験上、電子メールのみのやり取りですと、通報者の方もどんな弁護士かもわからないため、詳細を伝えることを躊躇され、正確な情報が掴みづらいことが多いためです。
ご了承いただければ、電話や面談にて通報内容の聴取を行い、難しい場合には、電子メールでのやり取りにより、できる限りの聴取を行います。 -
面談による通報内容の聴取
当事務所では、通報が電話によって行われた場合も電子メールで行われた場合も、可能な限り、通報内容の詳細についてオンラインを含む面談にて聴取を行うことをお願いするようにしています。
顔を合わせることにより安心感を与えることもできますし、複雑な事案では、通報者の方から図示していただきながら事情をご説明いただくことで、より正確に状況が把握できることが多いためです。 -
匿名希望による通報など
当事務所では、
・匿名による通報
・当事務所には通報者氏名を明かすが会社には秘匿してほしい
・一部の情報を秘匿して、会社に報告してほしい
といったいずれの通報も対応可能です。
ご相談にいらっしゃる内部通報担当者の中には、会社の内部通報制度として、匿名による通報を可能とするか否か迷われている方もいらっしゃいます。匿名希望にされると、通報に対する会社の対応が難しくなるというのが一つのネックになっているようです。匿名による通報を可能とすることは、内部通報制度の利用しやすさにもつながりますので、当事務所では、基本的に匿名による通報を可能とする方向をお勧めしています。
加えて、当事務所では、匿名希望の通報者の意思は尊重しつつ、会社に対して何らかの対応を求められているような方に対しては、会社に氏名や情報を公開するメリットもお伝えし、通報を実効性の高いものにできるよう努めています。 -
通報対象事実以外の通報があった場合
中には、会社の内部通報規程で定められた通報対象事実に該当しない可能性のある事柄に関して通報される方もいらっしゃいます。
会社が分野別に複数の相談窓口を設けているため、勘違いをされたり、単純にどこに相談してよいかわからなくて、とりあえず通報されてきたりというケースがほとんどです。
このような場合でも、基本的には丁寧に通報対象外である可能性はご説明のうえ、通報者の希望に応じて、場合によっては聴取を行い、会社への報告まではさせていただきます。 -
まとめ
不安を抱えつつも、大変な覚悟をもって、通報してくださる方がほとんどです。当事務所では、そういった通報者の覚悟や気持ちを無駄にしないために、まずは通報者に信頼いただき、話せる環境作りを行い、通報者が伝えたいことをしっかりと把握して会社にご報告できるよう努めています。
6. 弁護士から会社への通報内容の報告
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報告内容について
当事務所が会社にご報告するのは、通報者の方から許可をいただけた情報に限ります。匿名を希望された場合には、匿名でのご報告、一部情報を秘匿されたいというご要望が出た場合には、秘匿希望された部分を除く情報をご報告いたします。
さらに、通報内容によりますが、基本的には簡単に当事務所の法的見解も付してご報告するようにいたします。 -
報告のタイミング
原則として、通報者の方から会社への報告の許可をいただけた場合には、当事務所にて通報者の方より事情聴取を完了した日から、3営業日以内には電子メールにてご報告をさせていただきます。
なお、電子メール以外の方法でのご報告をご希望される場合(報告用の会社のひな形があるというような場合など)には、対応を検討させていただきますので、ご希望をおっしゃってください。 -
報告先
報告を行う宛先については、通常は、会社の指示に従わせていただきますが、予めご指定いただければ、会社の内部通報担当部署に直接当事務所よりご報告させていただくことが可能です。
7. 会社から通報者に対する事情聴取、調査等の各種対応
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会社における対応
当事務所より、通報内容についてご報告したのち、会社において可能な対応をとっていただきます。
例えば、通報者の方が自分の所属している部署の上司よりパワハラを受けているので、部署異動を希望している場合などは、会社としては上司について処分をするかどうかの検討、通報者の方の部署異動を実施するか否かの判断をする必要が出てきます。その判断のために、通報者の方、当該上司、及び場合によって事情を知る関係者から直接事情を聴きとっていただく必要が生じることが多いです。
中にはこの際の事情聴取を顧問弁護士に任せている会社もありますが、多くの会社では、内部通報担当部署、または担当者に任せています。
このように、仮に社外窓口を設けている会社であっても、最終的には社内の内部通報担当者が、通報者等から直接事情聴取を行う必要が出てくることを想定して、担当者には、聞き取り能力に長けている方を選任する、または、日ごろから適切な聴取作業を行えるよう研修を行うということが重要になると思われます。 -
調査方法等について
通報内容に関する調査方法等のアドバイス等に関しては、会社に顧問弁護士がいる場合には、顧問弁護士にご相談いただくということでも問題ありません。顧問弁護士は一番会社の仕組みや状況を認識していますので、大きな助けになると思います。
しかし、顧問弁護士がいない、もしくは何らかの事情で顧問弁護士に相談することが難しいということもあると思います。そういった場合には、当事務所にて、調査方法に関するアドバイス等を差し上げることも可能です。
8. 調査結果のフィードバック
会社において、通報内容に関する調査を行っていただいたのち、必要に応じて、当事務所に調査結果をフィードバックしていただきます。
例えば、通報者が会社に対しては氏名や連絡先を伝えてほしくないと希望しているような場合には、当事務所より会社に対しては匿名のまま通報内容を報告し、調査結果につき当事務所を通して通報者にご連絡するということが可能です。
9. まとめ
以上が、当事務所に社外窓口を設置いただいた場合に、ご提供できるサービスとなります。もちろん、ご相談いただいた場合には、このほかにも会社の状況に合わせて対応できることもあります。
社外窓口は今や、内部通報制度の要と言っても過言ではありません。どこに設置をするか重要なご判断になるかと思いますので、ご不明な点は何なりとお問い合わせ下さい。